旅道楽なコラムvol.19~JR唯一の客車普通列車に乗る

ひとり旅のエピソード、失敗談、感動秘話などを綴る旅道楽なコラム。今回は、「JR唯一の客車普通列車に乗る」のタイトルで、2000年11月の門司港駅から乗った懐かしい列車を書きます。

客車列車の車内

消えゆく客車普通列車とは

「客車普通列車」と聞いて、懐かしいと思う人は中年以上の方でしょう。JRから客車普通列車が消えて20年以上が経っているからです。

客車普通列車とは、機関車が車両をけん引して走る列車のことで、かつてはSLでも運転されていました。その後は電気機関車やディーゼル機関車がけん引するようになりました。

客車には、ブルートレインのような長距離特急もありましたが、在来線の普通列車にも使われてきました。ドアを手で開けるタイプの車両が印象に残っています。

昭和50年代ころから客車普通列車は次々と姿を消していき、平成に入ってからは限られた路線で運行されるだけになってしまいました。

2000年当時、JRで唯一の客車普通列車が運行されていたのが鹿児島本線・筑豊本線の門司港駅―飯塚駅を結ぶ1往復だったのです。

同年秋、関門海峡へひとり旅する前に、唯一の客車普通列車の存在を知り、「おそらく最後の乗車になるだろう」と思ってプランに組み込むことにしました。

乗車したのは夕方の下り列車で、門司港駅から小倉駅までの23分間。ノスタルジーの思いを抱きながら、門司港駅へと歩を進めたのです。

 

23分間の客車普通列車の旅

門司港駅停車中の客車普通列車

この区間に客車普通列車が残されていた理由はいろいろあるようですが、当時は筑豊本線が未電化で、乗り入れには気動車が必要だったことも一因のようです。

門司港駅のホームには、すでに客車普通列車が入線していました。長大なホームによく似合う長大編成の車両が停車し、先頭には気動車がエンジンをかけていました。

昭和の時代とは違って自動ドアでしたし、車両の一部はローグシート座席仕様になっていました。せっかくなのでボックスシートに腰を下ろし、発車を待ちます。

発車の瞬間、気動車が客車をけん引する時の「ガクン」という客車列車独特の揺れが、懐かしく感じました。客車に乗っているんだなあと実感できたのはこの時だけですが・・・

門司港のホームでは、ビデオ撮影していた方もいました。近いうちに廃止になることは間違いありませんので、客車普通列車の雄姿を残しておきたいのでしょう。

あれやこれやと思いめぐらせているうちに、気が付いたら小倉駅に到着。あっという間に23分間の客車普通列車の旅は終わってしまいました。

客車普通列車は間もなく姿を消しました。時代の波は、長距離列車のブルートレインすらも次々と消し去り、今や人々の思い出に残るだけになってしまったのです。

実は、翌朝も小倉駅から門司港駅まで上りの客車普通列車に乗る予定でした・・・が、前夜の飲み過ぎと旅の疲労で寝坊してしまい、本当のラストチャンスを逃していたのでした🥲

今回のキーワード「門司港駅」

門司港レトロの玄関口にふさわしい大正3年開業の門司港駅。復元工事によって、大正時代に九州への玄関口として栄えた立派な駅舎がよみがえりました。

門司港レトロの公式ページ

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