旅道楽なコラムvol.18~無い無い尽くしだからこそ味わえるもの
ひとり旅のエピソード、失敗談、感動秘話などを綴る旅道楽なコラム。今回は、「無い無い尽くしだからこそ味わえるもの」のタイトルで、2008年4月の奈良県明日香村の民宿での一夜を書きます。
明日香村観光の拠点は民宿に
奈良県の明日香村は「飛鳥」とも言い表せるように、飛鳥時代をはじめとした古代の歴史ロマンあふれる土地で、一度は訪れてみたかったところでした。
高松塚古墳やキトラ古墳に代表される古墳群、そして聖徳太子や中大兄皇子、蘇我氏にゆかりの史跡が目白押しで、一日ではとても巡り切れません。
一昔前なら、いったんビジネスホテルがある街に戻って宿泊するところですが、運良く「じゃらん」で村内の民宿が予約できました。これで旅程が組みやすくなります。
ひとり旅で民宿に泊まるのは初めて。ホテルや旅館とは当然違うでしょうから、戸惑うかもしれません。それもひとり旅の醍醐味と言えるでしょう。
一日目の観光を終え、バスで民宿最寄りのバス停まで行きました。降りたのは私一人。近鉄線の駅からは遠く離れた民家の少ない地域だったのです。
ひとり旅でのお楽しみとして「夜の飲み歩き」を目論みたくても、飲食店が無いのですからどうにもなりません。飲み歩きは半ばあきらめました。
やって来た民宿は、思ったよりも大きな建物でした。ただ、周辺は民家がほとんどなく、静けさに包まれていて、もの寂しさすら感じてしまうほどです。
飲み歩かなくても旅酒を堪能
ご主人に案内していただいた部屋にはテーブルがあるだけ。お茶のセットは廊下に用意してあり、ここが共同スペースになっているようでした。
食事つきの民宿ですので、支度ができるまでは部屋で待ちます。ふだんならテレビでも見ながら過ごすのですが、テレビが無いのは意外に手持ち無沙汰なものです。
夕食は食堂でいただきます。メニューは牛乳仕立ての「飛鳥鍋」一品だけ。それでも、鶏肉をメインに白菜、ゴボウ、水菜、タケノコなど具材たっぷりで美味しかったです。
飲み足りなかったので、ダメ元で出かけようと思ったのですが、ご主人に「食堂で飲まれたらいかがですか?」と声を掛けていただき、二次会は再び食堂へ・・・
夕食でも出してもらった漬物を頂戴し、日本酒を飲ませていただきます。同席した遅い夕食のグループ客やオーナー夫妻とよもやま話に花を咲かせました。
頃合いを見計らって二次会終了。もう少し飲めそうだったので、共用の冷蔵庫から冷酒を持ち込み、部屋で飲むことにしました。
テレビがありませんので、旅行中に入手したキトラ古墳の図録を見ながら一献傾けます。聞こえてくるのは虫の音だけ。こんな旅の夜も一興ではありませんか。
★お世話になった民宿 「若葉」さん(明日香村観光ポータルサイトの紹介ページ)
当時はスマホを持っていなかったので、テレビが無ければ情報は全く入って来ません。情報から隔離されたことが逆に新鮮で、だからこそ思い出に残る旅の夜になったのですね😌
世紀の発見と言われた高松塚古墳と比べると、地味な印象があるキトラ古墳ですが、7世紀末~8世紀初頭の古墳としては唯一、東西南北の壁画(4神)が現存しています。
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