旅道楽なエッセイ~なつかしの鉄道乗りある記「留萌本線」第5話

ひとり旅の思い出などを綴る旅道楽なエッセイとして、「なつかしの鉄道乗りある記」を連載します。今は廃線となってしまった地方ローカル線や第三セクター路線の乗車体験記で、今回は北海道留萌市を中心としたローカル線「留萌本線」第5話をご案内いたします。

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「留萌本線」第5話

さらに海沿いを走っていくと、次の阿分駅に着く。この駅は板張りの短いホームで、車両三分の一くらいの長さしかないのには驚いた。

実はその前に同じようなホームの北秩父別を過ぎていたのだが、改めて仮乗降場そのままの駅が存在していることに驚きを隠せなかった。もっとも、国鉄当時には校庭の朝礼台くらいしかなかった仮乗降場もあったと言われている。

阿分を出て「海沿いに近いところを走っているなあ」と思っていたらいきなりトンネルの洗礼を浴びてびっくりした。トンネルを抜けると海からは遠ざかり、里山のような雰囲気のところを走っていき、信砂駅に到着する。

この駅も板張りの簡素なつくりではあるが、阿分とは違ってホームは一両分の長さが確保されていた。宮脇俊三さんの名著「時刻表2万キロ」によると、この駅の脇に川が流れていて小さな滝があったと記されているが、そうした光景は確認できなかった。

信砂の次の舎熊は、貨物車両の待合室と駅前広場がしっかりとあり、昔からあるローカル線の駅という感じだった。海は先ほどよりも近づいてきたようで、駅間も北海道としては珍しく非常に短い。

舎熊を出ると、次の朱文別、箸別と仮乗降場だったと思われる駅が続く。いずれもホームは阿分と同じくらいの長さしかなく、駅名板一つだけ立てられているシンプルな駅であった。

朱文別では車両の後部が手前の踏み切りの上にきてしまうほどであるが、もとより停車時間は短いし、道路が数珠つなぎになるほど車両は通行していない。

それにしても、留萌を出てからの各駅は北海道ならではの駅名がずらりと並んでいて楽しい。おそらくアイヌ語の地名からきているのだろう。

 

朱文別から再び海沿いを走るようになり、箸別を出発するといよいよ終点の増毛。この区間はカーブの連続ということもあってか、極端なのろのろ運転をして、もうすぐそこまで来ているのになかなか到着しないという感じだった。

確かにカーブがかなりきついので、徐行もやむを得ないところなのだろうが、それにしても結局増毛の手前でほんの少しスピードを上げたと思ったら、もう停車の態勢へと変わっていった。

増毛駅は、雑誌やインターネットで何度か見ていて印象は分かっていたが、まさしく板張りのホーム1線だけという日本屈指の簡素な終着駅であった。

ホームが切れたすぐのところに車止めがあり、ここから先は一歩も前に進めないということを強調しているかのようであった。ホームを出ると駅舎が建っていたが、どうやら最近つくられたものらしく、駅舎内はそば屋と海産物店が入っていた。

JRの詰め所みたいなところは確認したなかでは見あたらず、切符も当然のことながら車内精算であった。無人の小さな駅にもかかわらず、構内が広々としているので、かつては漁港からの貨物列車の側線があったのかもしれない。

増毛駅では最大1時間から10分程度ですぐに留萌方面へと列車は折り返していく。私が乗ってきた列車は折り返しまでの時間が短く、あちこち写真を撮っているうちに出発時間を迎えたのである。

増毛駅を発車する列車をビデオクリップにおさめながら、列車が出ていったあとの静けさに包まれた増毛駅のホームにしばし見入っていた。(留萌本線おわり) 

留萌本線とは

深川から留萌を経て増毛まで結ぶ路線。本線とは名ばかりで、廃止直前の頃は特急や急行は運行しておらず、ローカル色たっぷりの路線。終点増毛駅は映画の舞台にもなった終着駅らしい駅として人気があった。

赤字路線だったため廃線が取りざたされていたが、2016年12月に留萌―増毛、2023年3月末に石狩沼田―留萌と段階的に廃止された。2026年3月末に、残る深川―石狩沼田の運転を終了し全線廃止となった。

※このエッセイは、過去にホームページで掲載した「鉄道乗車レポート」をリメイクしたもので、マイケルオズのnote及びブログ「旅人マイケルオズのニッポンひとり旅語り」でも掲載しています

 

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