旅道楽なコラムvol.1~男子30にして、ひとり旅に立つ
コラムのコーナーを開設します。ひとり旅100回超えの数多くの経験から、エピソード、雑感、失敗談、感動秘話などを書いていければと思っています。
第1回目のコラムは、「男子30にして、ひとり旅に立つ」のタイトルで、1992年6月の初めてのひとり旅について書きます。
旅の手配はすべて自分
私がひとり旅を始めたのは、30歳になって半年後でした。1992年は仕事が忙しく、ようやく連休が取れる目途がたち、「旅行でもするか」と思い立ったのです。
社員旅行や団体旅行しか経験のない者にとって、すべて自分一人で準備するというのは、結構大変だということがわかりました。それが「切符と宿泊の確保」です。
最初に目的地を決めなければなりません。当時、漠然と北へ行きたいと思っており、「少し遠いけど仙台まで足を伸ばそう」と決めたわけです。
仙台周辺の観光と宿泊でもよかったのですが、せっかくのひとり旅なので「思いっきり海が見たい」と考え、三陸海岸で手ごろなところはないか探してみました。
そして、一つのまちが思い浮かんだのです。宮城県気仙沼市。行ったことはないのですが、どこかノスタルジーを感じさせられる漁港のまちです。
次のステップは「気仙沼で宿を取ること」です。今と違い、旅行代理店に出向いて宿泊施設を探してもらい、駅前のホテルが予約できました。
旅行代理店では、前払いのホテルクーポンのほか、往路の新幹線などの切符も手配してもらいました。今なら、自宅のパソコンですべて予約が可能です。
旅先は驚くことばかり
初めてのひとり旅と、初めて訪れる土地。それは、見るもの、体験するものが、珍しいことばかり。旅路の道中は、常にワクワクしっ放しだったのです。
例えば、一ノ関駅からの大船渡線。乗り込んだのはディーゼルカー。ふだん電車に乗り慣れており、ディーゼルカーは子供の頃以来でした。
発車とともに独特のディーゼル音が鳴り響き、軽油のにおいが車内に立ち込め、一気に旅気分が高揚したものです。すると、車内アナウンスが流れます。
「この列車はワンマンカーです。整理券をお取り下さい。運賃は料金箱へ」・・・バスに乗っているのかと勘違いするようなアナウンスに驚かされました。
気仙沼駅に降り立ちました。ここから、数日前に観光ガイドで知った三陸海岸の名勝「巨釜・半造」を目指すために、バスターミナルまで向かいます。
バスの時間待ちで港町をぶらつきました。魚屋さんをのぞくと、水槽に見たこともないグロテスクな形の球体が浮いています。これが、三陸の珍味「ホヤ」だったのです。
バスで向かった「巨釜・半造」も見事でした。山国に住んでいる者にとって、ダイナミックな岩礁海岸と青く澄んだ太平洋は、ただただ感動の一言に尽きるのです。
こんな感じで、旅先は驚き、驚き、また驚きの連続。たった半日で、早くもひとり旅の魅力にどっぷりと浸かったのでした😚
JR大船渡線は岩手県一関駅と宮城県気仙沼駅を結ぶローカル線です。東日本大震災前は線名どおり、大船渡市の盛駅まで走っていました。線形からドラゴンレールという愛称が付けられています。
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