旅道楽なコラムvol.21~幻となった小田川温泉秀吉の館
ひとり旅のエピソード、失敗談、感動秘話などを綴る旅道楽なコラム。今回は、「幻となった小田川温泉秀吉の館」のタイトルで、2002年10月の青森県五所川原市での度肝を抜かれた思い出を書きます。
羽柴秀吉?が建てた温泉
青森県の津軽半島を2泊3日で巡ったひとり旅は、カメラハプニングをはじめ、いろいろと思い出に残る旅行になりました。
そのなかでも、強烈な印象に残っている場所があります。その場所は、半島のちょうどど真ん中にあたる五所川原市の金木地区にあったのです。
金木といえば、昭和の文豪・太宰治の生家があることで有名ですが、もう一人、選挙マニアの間では超有名人だった人物がいたのをご存じでしょうか。
その人の名は「羽柴秀吉」。歴史上の人物ではなく、参議院議員選挙など数々の選挙に出馬しては落選を繰り返していた愛すべき泡沫候補だったのです。
羽柴秀吉こと三上誠三氏は、青森県内で建設業や観光業を営む実業家で、自らを「秀吉の生まれ変わり」だとして、羽柴秀吉を称していたとのことです。
その三上氏が金木地区に建設したのが「小田川城温泉」でした。後で触れますが、非常にユニークな外観を持つ温泉施設というのがウリだったわけです。
太宰の生家を観光したので、「ついでに小田川城温泉も見に行ってみよう」と、軽い気持ちでレンタカーを走らせたのでした。
国会議事堂や天守閣までお目見え
まず驚いたのは「小田川藩 国道1号線」という看板。秀吉の生まれ変わりなので、自ら立藩したらしいのです。ここからは藩内の道(私道)を走ります。
続いて現れてきたのが城門を思わせるゲート。その横に重機が止まっているのもご愛敬で、門をくぐると何が出てくるのか楽しみです。
そしてお目見えしたのが、国会議事堂をあしらった立派な建物。どうやら、ここが小田川温泉のメイン施設になっているようです。
国会議事堂の前には、数台の車が駐車しており、お客さんが来ていることが分かります。日帰り入浴もできるとのことで、お越しになった方もいるのでしょう。
小田川温泉は国会議事堂だけではありません。天守閣を思わせるような建物・・・これが秀吉氏の住居、つまり殿様の館ということなのでしょう。
ほかにも様々な施設があったようですが、旅程の都合でぐるりとひと回りしただけで、小田川藩から退去いたしました。とにかく「ビックリした」の一言に尽きますね。
羽柴秀吉氏は2015年にお亡くなりになり、その後施設も取り壊された模様で、小田川温泉も閉業となったようです。
羽柴氏は、長野県知事選挙にも出馬しています。当時、田中康夫知事の「脱ダム宣言」が争点となっていましたが、田中知事ほか数人の候補者の中で、羽柴氏だけが「ダム建設推進」を訴えていたのが印象的でしたね🤔
太宰治の生家は「斜陽館」として、長い間旅館営業をしてきました。現在は太宰治記念館として、太宰に関するさまざまな資料が展示され、太宰ファンをはじめ、多くの観光客が訪れています。
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