旅道楽なエッセイ~なつかしの鉄道乗りある記「留萌本線」第4話
ひとり旅の思い出などを綴る旅道楽なエッセイとして、「なつかしの鉄道乗りある記」を連載します。今は廃線となってしまった地方ローカル線や第三セクター路線の乗車体験記で、今回は北海道留萌市を中心としたローカル線「留萌本線」第4話をご案内いたします。
「留萌本線」第4話

幌糠を出たあとの藤山駅、大和田駅はそろって里山の田舎にある小さな無人駅で、周辺の雰囲気はよさそうであった。大和田駅の駅舎は北海道ではよく見かける貨物列車車両を使ったものだ。
大和田駅を過ぎると次は留萌。港町のはずなのになかなか海に近づいているとの実感がない。それでもだんだん里山から都市部へと入っていくにつれて周囲が開けてくるようになり、まちのなかを走っているなあと思っていたところで、留萌到着の車内アナウンスが流れた。
ここまで約1時間の列車旅で、距離としては留萌本線の三分の二ほど終えたことになるが、気分的には留萌駅でちょうど半分という感じでもある。
車両切り離しのため、いったん改札口を出る。都市の中心駅ではあるが、さすがにローカル線だけあってのんびりとした雰囲気が漂う。
30分弱という待ち時間ではあったが、ちょうどお昼にさしかかっていたので、待合室一角にある駅そばで腹ごしらえをする。
当初は深川駅の駅弁を買おうかとも思ったのだが、前夜の所行もあって軽めの昼にしたいと考えた。名物ということでもないだろうが、ニシンそばがあったので注文する。大ぶりの身欠きニシンが乗ったシンプルなそばで、同じものを神戸でも頼んだことがある。
ただ、そこは関東風と関西風の違いで、留萌の駅そばは関東風の濃い目のつゆ、ニシンもしょう油でしっかり煮込んであった。
連結していた後ろの車両が深川行きの単行として出発したのち、改めて増毛行きの改札が行われる。今度は日本海にそって走るため、車窓は右側に陣取る。乗客は数人でほぼ旅行客に限られていた。
留萌駅の構内は広々としており、漁業で栄えたころの面影を残す。またここからはかつて日本海沿いを北上する羽幌線が分岐していた。2列2面のホームではあるが、ほぼ駅舎寄りのホームしか使っていないようだ。
増毛行きは定刻にゆっくりと出発。しばらく市街地を走り、まちを大きく迂回するように左カーブを切り続けたところで、視界が一気に開けて日本海が広がる。劇的な車窓の変化に目を奪われているうち、瀬越駅に到着する。
瀬越から次の礼受までは海岸沿いを走る。その間にはゴールデンサンビーチと呼ばれる海水浴場があり、早くも海水浴を楽しむ人たちの姿がみられた。
もっともここ数日の北海道は真夏なみの暑さが続いているようで、海水浴には絶好の陽気といえる。今までの山ルートとは異なる趣の風景を楽しみながら、礼受駅に到着。
海沿いとの反対側は海岸蝕になっていて、このあたりは北海道らしい。礼受も海に近いのどかな無人駅で、貨車の待合室を設けていた。
(つづく)
深川から留萌を経て増毛まで結ぶ路線。本線とは名ばかりで、廃止直前の頃は特急や急行は運行しておらず、ローカル色たっぷりの路線。終点増毛駅は映画の舞台にもなった終着駅らしい駅として人気があった。
赤字路線だったため廃線が取りざたされていたが、2016年12月に留萌―増毛、2023年3月末に石狩沼田―留萌と段階的に廃止された。2026年3月末には、残る深川―石狩沼田の廃止も決まっており、これによって全線廃止となる予定だ。
※このエッセイは、過去にホームページで掲載した「鉄道乗車レポート」をリメイクしたもので、マイケルオズのnote及びブログ「旅人マイケルオズのニッポンひとり旅語り」でも掲載しています















