旅道楽なコラムvol.10~寝台特急はやぶさ号16時間21分の列車旅
ひとり旅のエピソード、失敗談、感動秘話などを綴る旅道楽なコラム。今回は、「寝台特急はやぶさ号16時間21分の列車旅」のタイトルで、1997年11月の西鹿児島行「寝台特急はやぶさ号」乗車の思い出を書きます。
16時間余の列車旅の始まり
夜汽車に揺られて旅をする・・・そんなフレーズも昔の話になってしまいました。平成も半ばころから寝台特急(ブルートレイン)が次々に廃止となったからです。
私は運よく、ブルートレインに20数回乗車する機会に恵まれました、その一つ一つが思い出に残るような夜汽車の旅だったのです。
そのなかで最もロングランの乗車だったのが、名古屋駅から西鹿児島駅(現鹿児島中央駅)までの寝台特急はやぶさ号での旅路でした。
名古屋駅発は午後10時49分で、西鹿児島駅着は翌日の午後3時10分。所要時間は何と16時間21分・・・ただし、東京始発なので、東京からだとほぼ丸一日の行程になります。
それにしても、午後3時に到着では、その日の観光はほとんどできません。つまり、旅行プランの貴重な1日を「列車に乗っているだけ」に費やしてしまうことになるのです。
それでも乗車したいと思った理由は、はやぶさ号が熊本止まりになってしまうと聞いたから。これがラストチャンスだと思い、乗ることに決めました。
夜の名古屋駅へ滑り込むようにブルートレインが到着し、ワクワクしながら乗り込みます。車掌の検札を受けたあとは、夜も遅いので寝ることにしましょう😴
※注 個室B寝台を取ったのですが、連結車両が熊本止まりだったため、熊本―西鹿児島は立席特急券扱いとなりました。つまり2種類の特急券が必要となったため、手書きでの切符を発行していただいたわけです。お手数をおかけしました😅
九州の西側を縦断するはやぶさ号
列車に揺られて時折目が覚めつつ、うつらうつらしながら一夜を過ごし、本格的に目覚めたのは山口県の柳井駅手前。思わず「まだ本州を走っているのか」と口にしたほどです。
下関駅では機関車の付け替えで長い停車時間があります。ここで朝食のお弁当を買うためにホームに出ます。下関の駅弁といえば「ふく寿司」でしょう。
短い関門トンネルを抜けると、いよいよ九州上陸です。でも、西鹿児島はまだまだ先。ぼんやりと車窓を眺め、多少退屈さも感じながら過ごしていました。
大牟田駅で昼食の駅弁「有明弁当」を買い込み、それに合わせて寝台の座席を移動します。乗ってきた個室寝台の車両が熊本駅止まりだったからです。
熊本駅の次、八代駅からは現在の肥薩おれんじ鉄道の路線を走ります。ここまでほとんど見えなかった海が一望できる、車窓の美しい区間でした。
鹿児島県に入り、単線区間の薩摩高城駅で列車交換があり、上りのはやぶさ号とすれ違いました。この光景も間もなく見られなくなります。貴重な体験です。
そして西鹿児島駅に到着。旅のスタートだというのに、もう日暮れ時を迎えようとしています。乗り通した達成感とどこか寂しさを感じつつ、ホームに降り立ったのでした。
はやぶさ号での鹿児島入りが、初めての鹿児島旅行となりました。歴史好きとしては、幕末の雄・薩摩藩関連の史跡は外せないところですし、芋焼酎にハマったのもこの時のひとり旅がきっかけでした😋
JRが新幹線を整備する際、並行する在来線を第三セクターに移管します。肥薩おれんじ鉄道は、熊本県八代駅と鹿児島県川内駅を結ぶローカル鉄道で、企画列車なども運行しています。
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