旅道楽なエッセイ~なつかしの鉄道乗りある記「留萌本線」第1話

ひとり旅の思い出などを綴る旅道楽なエッセイとして、「なつかしの鉄道乗りある記」を連載します。今は廃線となってしまった地方ローカル線や第三セクター路線の乗車体験記で、今回は北海道留萌市を中心としたローカル線「留萌本線」第1話をご案内いたします。

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「留萌本線」第1話

留萌本線は、北海道内陸部の深川と日本海側の留萌、さらに増毛までを結ぶローカル線だったが、段階的に廃止されていき、2026年3月末には残念ながら鉄道史から姿を消してしまう。

私が留萌本線に乗ったのは2012年6月。留萌―増毛廃止の4年前で、ギリギリ全線乗り通しができたのであった。

羽田空港から飛行機で新千歳空港に着き、快速エアポート、特急スーパーカムイと乗り継いで深川駅に到着。40数分の待ち合わせを経て留萌本線のディーゼルカーに乗り込む。

2両編成にはなっているが、後ろの1両は留萌での折り返し用の回送車両とするようで、事実上の単行運転となる。留萌行きとなっているものの、単行車両は列車番号を変えたうえで、事実上増毛行きとなる運用だ。

今時珍しいというか、北海道なればこそできる冷房の入っていない車両で、窓はすべて開いており、天井には扇風機が回っている。これだけ暑いのは一年でもほとんどないようで、気温だけを考えると塩梅のよくない時にあたってしまったと苦笑いせざるを得ない。

留萌までは向かって左側の座席がよいとの事前情報をもとにしっかりと座席確保し、出発を待つ。ローカル線らしく、乗客はあまりいない。その代わりに、私と同じような旅行客や鉄っちゃんらしき個人客の姿はみられる。それもボツボツといったところだ。

 

列車はゆっくりと深川駅を出発する。複線の堂々とした函館本線と分かれ、非電化の単線を淡々と走る。留萌本線は、本線の冠はついているがそれとは名ばかりの典型的な地方ローカル線である。だからこそ、ローカル色たっぷりな雰囲気で列車旅が楽しめる。

留萌本線は広々とした田園風景、里山や原生林など山の風景、そして日本海沿いの海の風景と3つの車窓が堪能できることに特徴がある。

まずは、石狩川沿いにできた広大肥沃な土地に恵まれた盆地を進む。田園風景を走るローカル線といえば、最近廃止されたばかりのくりはら田園鉄道があったが、雰囲気はそれに近い。

やがて最初の駅の北一已(きたいちやん)に着く。田園のなかに古いバラックのような駅舎があり、雰囲気が出ている。駅名の漢字を見てすんなりと読める人は地元住民以外にはほとんどいない難読駅名である。
(つづく)

 

留萌本線とは

深川から留萌を経て増毛まで結ぶ路線。本線とは名ばかりで、廃止直前の頃は特急や急行は運行しておらず、ローカル色たっぷりの路線。終点増毛駅は映画の舞台にもなった終着駅らしい駅として人気があった。

赤字路線だったため廃線が取りざたされていたが、2016年12月に留萌―増毛、2023年3月末に石狩沼田―留萌と段階的に廃止された。2026年3月末には、残る深川―石狩沼田の廃止も決まっており、これによって全線廃止となる予定だ。

※このエッセイは、過去にホームページで掲載した「鉄道乗車レポート」をリメイクしたもので、マイケルオズのnote及びブログ「旅人マイケルオズのニッポンひとり旅語り」でも掲載しています

 

廃線巡りはレンタカーでどうぞ
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